ROMチューン
噴射時間は、次のように決定される。
通常の噴射量(Ti) = 有効噴射量(Te) + 電圧補正分(Ts) ・・・ 同時噴射モード
通常の噴射量(Ti) = 有効噴射量(Te)×2 + 電圧補正分(Ts) ・・・ グループ噴射モード
エンジン1回転毎に1回、全インジェクターを作動するのが同時噴射モード、3気筒ずつ2つのグループに分けるのがグループ噴射モード。
同時噴射モードは始動時。グループ噴射モードはそれ以外。
有効噴射量(Te) =基本噴射量(Te)×各種補正係数(Co)×空燃費フィードバック補正係数(α)
- 補正係数(Co)
始動時、暖機時、加速時、高負荷時等の条件に応じ、各センサーからの信号を元に基本噴射量を補正。
補正係数(Co) = 1+空燃費補正係数(Kmr+Ktrm)+水温増量補正係数(Ktw)+始動および始動後増量補正係数(Kas)
+高水温増量補正係数(Kh)+加速時壁流補正係数(Wfac)-減速時壁流補正係数(Wfdc)-加減速量補正係数(Kacc)
空燃費補正係数(Kmr,Ktrm) ・・・ 高負荷、高回転になるほど増量
水温増量補正係数(Ktw) ・・・ 水温が低いほど増量
始動および始動後増量補正係数(Kas) ・・・ クランキング時に水温が低いほど増量補正、始動後は一定の割合で0になるまで減少
高水温増量補正係数(Kh) ・・・ スロットルバルブスイッチがOFFのとき、冷却水温が100℃以上のとき増量
加速時壁流補正係数(Wfac) ・・・ 加速時にスロットルセンサーの開度変化によって補正
減速時壁流補正係数(Wfdc) ・・・ 減速時にスロットルセンサーの開度変化により補正
加減速量補正係数(Kaxcc) ・・・ スロットルバルブスイッチがONからOFFになった直後に一定量減量し、その後一定の割合で0になるまで増加
空燃費フィードバック補正係数(α) ・・・ 基本空燃費と理論空燃費とのずれの補正
空燃費学習制御補正係数(K) ・・・ フィードバック係数の範囲外についても学習機能により空燃費を補正
電圧補正分(Ts) ・・・ インジェクターが信号を受けてから開弁するまでの作動遅れ時間(無効噴射量)が電圧の低下に比例して増加する分の補正
(R32技術解説書より)
その昔、車に興味を持ち始めた学生時代、車の調子は、点火時期と、それを制御するバキュームアクチュエーター、ジェット類の調整などを行って、燃料、点火時期を少し変えて遊んでいたものでした。
今は、燃料、点火時期も電子制御になり、ちょうどさわり易い8ビットCPU制御のR32では、ROMライター使って、データを変更可能です。 最新の車に関しては16bit
CPU制御になっているので、さわりにくいですね。
- 用意したもの
・秋月電子のROMライター
Z80でこのような小さな半田づけは、初めてでしたが、失敗して、もう1個秋葉原に買ってしまいました。半田ごては、15-20Wが必要です。(\9.5Kほど)
・28ピンソケット
R32車載コンピュータから、ROM脱着のためのソケット。秋月で売っています。
・M27C256B EPROM
ROM焼き用に4個ほど購入。一回の変更に数パターンほど確認するので、10個くらい用意しておいたほうがいい。秋月で売っています。
・EPROM ERASER MODEL LER-121A (ロムイレーサー)
EPROM消去用の紫外線ロムイレーサー。試行錯誤でROMを作るため、ロムイレーサーは必須です。紫外線ランプで代用することもできます。消去には30分くらいかかります。秋月で売っています。(\5.8Kほど)
・データ変更用バイナリエディタ
私はソフト開発用のVISUAL STUDIO PRO で直接編集しています。他にマップエディターなるフリーソフトが公開されていると思うので、バイナリエディターの無い人は、こちらを使うといいでしょう。
- ROMライター
秋月電子のROMライター。DOS/VやPC98から制御可能です。このROMライターには、ROM焼きソフトが付属しています。
吸い上げ、転送は、RS232Cに接続して簡単にできます。
まず、オリジナルROMを吸い取り、バックアップしておきましょう。
ROMは、"MEC-R212B BRY34-09" と書いてありました。

助手席左足もとのカバーをはずして車載コンピュータをはずす。当然バッテリーははずして置いてください。
その後、車載コンピュータを分解して、ROMをはんだ吸い取り機で吸い取った後、そっとはずします。結構足がいくつもあるので、抜くのは大変です。根気が必要。
次に28ピン脱着ソケットを取り付けます。 欠きがある方を左に向け、装着します。ふたを開けた状態が下の写真。ROMはこのサブ基盤の下にある。写真では右下(黄色のだ円)に白く足が見えるのがROMとROMソケット。
その後のROMの抜き差しは、マイナスドライバーを使って少し浮かし、その下にプラスチックのレバーを差して抜き差ししていますが、面倒でなければ、ROMにテープで取っ手をつけておいた方が足が曲がらず都合が良いと思います。
もしくは、レバー付きの28ピン脱着ソケットを車載コンピューターに取り付けると最高ですね。

- オリジナルデータに変更
あとは、好き勝手にデータ変更すれば良いです。但しどのデータがどういう意味があるか調べなければなりませんね。WEBでいろいろ情報を入手し、取捨選択して自己責任で変更してみてください。
最近では、ROMチューン情報も少なくなってきたようですので、TETSUAKIさんのROMアドレス表をアップしておきます。
私の場合、初回の初爆の後、続かないという不調が出ていたため、燃料ポンプを疑って、R34GTRの燃料ポンプに交換しました。後に、プレッシャーゲージにつながるゴムホースの劣化も1つの原因のようでしたが、「始動時パルス出力幅」を変更することにより、快適に始動することができました。
後は、加速フィーリング、燃料消費の兼合いでいろいろいじるといいと思います。
レギュラー時燃調マップ(空燃費補正係数)、レギュラー時点火時期マップ、ハイオク時燃調マップ、ハイオク時点火時期マップ、最速時燃料カット、K定数をいじりました。
ノーマルとの仕様差は、きのこエアクリ、R34GTR燃料ポンプ、強化アクチュエーター(ブースト0.9K)、フロントパイプ、マフラーはHKSです。
- 正確な点火時期の調整
ROMチューンを始める前に、正確な点火時期に調整しておきましょう。当然、ROMは正規版を使用します。
実は、昨年(2004.12)のタイミングベルト交換後に、その後の点火時期が大きく狂っていました。ディーラーか、タイミングライトで正確に測定しておきましょう。詳細はこちら =>
- チェックサムと便利なソフト紹介
オリジナルROMを変更するとそのROMのチェックサムは当然ずれます。
ずれた場合、特に何も起こらない場合もありましたが、時に排気温度警告灯が付いたことがありました。
ROMのチェックサムをあわせてくれるソフトを"うーさん"が公開してくれています。
また、ファイルの差分を表示してくれるソフトや、燃料マップ、点火時期マップの差分を表示してくれるソフトも多数公開してくれています。私も利用しています。お薦めです。(うーさんありがとうございます)
- K定数
装備に変更が無ければ、基本的に変更する必要はありませんが、全体的に濃くする、薄くするのパワー、トルクを見るのに上下させると燃調の方向性が分かると思います。
私の場合のように、燃料ポンプの変更、あるいはタービン変更等による増量インジェクターの変更、エアフロメーターの変更の場合には、それぞれの増量分に対する、変更度合いを、現行の定数から変更する必要があると思います。
K定数決定方法
1. 標準からの変更データ(燃料ポンプ吐出量、インジェクター、エアフロ容量等)を元にオリジナルのものから比率を変更する。
2. 燃料マップを00に書き換え、3000回転での空燃費を測定する。
3. 13-14程度になるようにK定数を変更する。
4. その後、燃料マップをオリジナルに戻し、調整していく。
R32 ノーマル: 145 L/h
R34 GTR: 195 L/h
- 点火時期
R32にお乗りの方なら感じると思いますが、2500回転あたりからのターボによるトルクアップ3000回転を過ぎてグーと来て5000回転を過ぎたあたりから期待するほどのパワーがなくなるのを。
当時、215馬力規制でRB20DETの最高出力調整を行ったとしかいえないような仕上がりです。この辺を上げてやるととてもいい感じに回ります。
今回のREV4003データは結構おとなしめです。全体的にもう5度くらいは進角できそうですが。TETSUAKIさんの資料によると、このデータの単位はdegとなっています。
低回転、高流量側で大きな値がありますが、これはノックセンサーによる学習機能を上位1ビットで制御しているらしいです。5000回転以上で大きく点火時期を上げてこのビットを立てていると、なるほど初回はノッキングしますが、次からはノックせず、遅角されていることが確認できました。
レギュラーは、&h7C00から256バイト、ハイオクは&h7400から256バイトです。レギュラー側で設定してから、データをハイオク側にコピーしています。ハイオクはレギュラーより5度進角しているとのことですが、ノックセンサーで自動的にハイオク、レギュラーの切り替えが行われます。オリジナルではレギュラー、ハイオクデータは同一でした。
- 燃調 (空燃費補正係数)
レギュラーは、&h7D00から256バイト、ハイオクは&h7500から256バイトです。レギュラー側で設定してから、データをハイオク側にコピーしています。ハイオクはレギュラーより5度進角しているとのことですが、ノックセンサーで自動的にハイオク、レギュラーの切り替えが行われます。オリジナルではレギュラー、ハイオクデータは後半が異なります。私は常時レギュラーで走っています。最近はハイオクを入れたことがありません。
tetsuakiさんの資料によると、値×(100/128)% が補正係数となっているようです。ということは下位7ビット分(128)がデータということになりますね。
実は、先日、うーさんからROMデータをいただき、今回それを参考にして仕上げていっています。特に燃調はA/F計等が無いため、今までほとんど触っていなかったのですが、今回はいただいたデータを元に燃調もいじってみました。すでにかなり元とは違っているが。
A/F計が無い場合、フィーリングに頼るしかないのですが、濃いとレスポンスが悪くなり重くなる。薄すぎるとトルクが無くなりノッキングが起こることもある。ちょうど良いところはトルクもレスポンスも良い。と言ったところでしょうか。
簡易A/Fの目安として、O2センサーのフィードバックを利用できます。最初にK定数を変更する際に確認のためこの方法で行ってみました。詳細は、こちら =>。
日産コンサルト
| 2005.11.23 |
今まで、勘に頼ってROMチューンをやってきましたが、新兵器を導入し、もう少しいろいろ情報を得た上でROMチューンしたいと考えました。
ヒューズ上の診断コネクタとノートPCを接続し、MAPトレース、データロガーを導入しました。 |
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これで、正確な(自分に納得のいく)ROMチューンが可能となりそうです。
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| 燃料補正実験 NEW !! |
アイドリング時は、レギュラーガソリン使用の下の7D10番地のC4を見ていました。下の燃料マップの赤枠参照。
水温75℃、点火時期BTDC15°レギュラーガソリン使用。ISCバルブ(AACバルブ)は15%くらいを制御していました。
C4とは、上位2ビットがフィードバック制御、学習機能らしく 04h × 100/128 % の意味のようです。すなわち、3% 空燃費増量補正をフィードバック制御しながら、学習を行いなさい、ということです。
(1) RAMクリアから、AFR空燃費補正は、105%程から、数分するとO2フィードバック制御の結果から103%程に落ち着いてきます。
(2) 次に、7D10番地をC5にした(05h × 100/128 % = 103.9%)を試してみました。
RAMクリアから、AFR空燃費補正は、112%程から、数分するとO2フィードバック制御の結果から98%程に落ち着いてきます。
(3) 3番目に、7D10番地をC2にした(02h × 100/128 % = 101.6%)を試してみました。
RAMクリアから、AFR空燃費補正は、103%程から、数分するとO2フィードバック制御の結果から112%程に落ち着いてきます。
実際のアイドリングフィーリングは、(1), (2)は安定していますが、(3)は時折、ボッボッと回転が落ちることがありました。アイドリングの回転自体は良いのですが、時折回転が落ちるというのが、他の2つと現象が違います。AFRは指定増量補正値、上から04、05、02に対し、実際は、その補正値×103%、98%、112%に補正されたということになります。
面白いですね。
何をやっているかというと、このC0を足した空燃費補正は、フィードバック制御され、それが学習されるのであれば、どんな値を放り込んでも行き着く先は一緒なのかと言うことを確認したいのです。
まだこれだけでは、どんな風に制御されているか分からないので、K定数を変更して、フィードバック制御がどうなるかを検証してみたいと思います。 |
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| リビジョン |
内 容 |
| REV4003 |
うーさんの出所不明ROMからのチューン
オリジナルより、フケが良く、高回転での伸び、パワーが出ています |
| REV4004 |
REV4003をさらに2000-7000RPMで進角させました。
さらに高回転でパワーが伸びます。 |
| REV4005 |
走行テスト中。
エコラン時の燃費大幅改良のため、ほぼ全回転、低負荷時にO2フィードバック制御を入れてみました。全域で補正されれば、理論空燃費に近くなり、燃費が大幅に改善されると期待していますが、さて。
高負荷時には、REV4004よりもさらに進角させ、さらにパワーを出しました。
燃費がどのくらい改善されるでしょうか、興味あります。
追って報告します。 |
REV4003
以下が、2005.8.30現在のデータの紹介です。オリジナルよりは、全般的にフケが良く、高回転での伸び、パワーが出ています。
| アドレス |
内 容 |
データ変更 |
| &h7F2B, 2C |
K定数 |
00, E1 (変更前は01, 01)
燃料ポンプをR34GTR用 (R32より新品部品価格が安い)にしたため、吐出量差から17.5%減にした。 |
| &h7E20から16バイト |
始動時出力パルス幅 |

燃料ポンプ変更影響か、何か分からないが、初爆の燃料が足りない状況だった。 これにより著しく改善。 |
| &h7C00から256バイト |
レギュラー
ガソリンの
点火時期 |
オリジナルの点火時期マップです。
TP格子から、&h7C00が400回転の時のエアフロ流量に基づく点火時期になっています。
以降400回転ごとの設定で、&h7CF0は6400回転の点火時期になっています。

このマップを見て分かるとおり、&h7CA0(4400回転)あたりから、点火時期データが極端に低くなっています。GTR等ではこの高回転側でも点火時期データの低下はあまり無いようですので、215馬力規制でわざと出力を落としているのではないかと考えられます。
下が、変更後のデータです。かなりおとなしくしています。&h7CC0以降もその上のデータ並みにセットしていく予定です。

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| &h7D00から256バイト |
レギュラー
ガソリンの
燃料マップ |
オリジナルのレギュラー燃調は、下の通りです。ハイオクでは、黄色で囲った部分が増量されていました。ただレギュラーにハイオクのマップをコピーしてみましたが、レギュラーの走行では元々濃いような状態なので、さほどフィーリングは変わりませんでした。

うーさんからいただいた出所不明のROMを参考に調整しました。フィードバック領域が変更されていることと、あるところでは薄くしている部分があります。一部オリジナルより濃い部分が数箇所あります。
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| &h7A0A, 0B |
最高速リミッター |
FF, FFに変更。180Km/hの解除。 |
2005.09.03 その後の変更
REV4004
- 点火時期
前回のデータは、かなりおとなしかったので、6気筒ツインカムターボのイメージのようにもう少し進角させました。
このくらいが、一定速度走行ではアクセル開度も少なく燃費にも良く、途中の加速、全開加速ともにトルク感、パワー感、申し分ない感じです。
- 燃調
前のと比べ、ほんの少し、変更箇所があります。
| &h7C00から256バイト |
レギュラー
ガソリンの
点火時期 |
変更したものです。ある程度数値変化をなだらかにして走行フィーリングで決定しました。

オリジナルとの差分は、これだけあります。うーさんのmapcomp.exeを使用して表示しました。

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| &h7D00から256バイト |
レギュラー
ガソリンの
燃料マップ |
燃料マップはこんな感じです。

オリジナルとの差分は、これだけあります。

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